今回は、『現職のマーケターに聞いた!小説家になるには必須の執筆前のターゲットの絞り方』と題して、実際にIT企業でマーケティングを担当する方に、どのようにして読者(ユーザー)のターゲットを絞っていくのがいいかインタビューした内容をまとめつつ紹介します。
作家が本を執筆する前に重要な項目として、前回記事でGRTSを紹介しました。(前回記事を読む)
この記事では、その中の『T:ターゲットの絞り方』について、解説していきます。
「そもそもマーケティングってなに?」と言ったことから簡単に紹介していくので、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
「マーケティング」という名称を聞くだけでアレルギーを起こしそうですが、小説やマンガを描く作家さんにもマーケティングの力は重要です。
小説などの多くの書籍は、読者のために描かれています。
現に多くの作家さんが、自分の描く世界やストーリーを読者に届けて、感動してもらったり楽しんでもらいたいと思って書いているのではないでしょうか。
とは言え、 ”どんな読者に読んでもらいたいか“を決めずに書いてしまうと、コンセプトがぼんやりとしてしまい誰の心にも響かない作品になってしまいます。
なので事前に、マーケティング=自分の小説を“どんな読者”に届けたいのか、読者のターゲット決めをすることが大切なのです。
出版社の方も、「この作品は、どんな人が買ってくれるだろうか」「どんな読者がファンになってくれるだろうか」ということを重要視しているようです。
本が売れないと潰れてしまう出版社が、読者(お客様)のことを気にするのは当然ですね。
マーケティングを行いターゲットを決めるときに特に重要なのは、「①ターゲットの規模」と「②ターゲットの具体性」です。これからこの二つに関して解説します。
「ターゲットの規模」は言わずもがなですが、せっかく読んでほしいターゲットの読者を考えたのに、その人がそもそも少なかったり存在しないのでは意味がありません。
ターゲットを選定するときは、“どれくらいの人数がいるのか?”をしっかり見極める必要があります。 では、どうやってターゲット規模を出せばいいのか?は、この後で紹介します。
ターゲットを具体的にすることは、ファンをつけていく上でとても重要です。
読者像もなるべく詳細に具体的にすることで、どのような世界観でどのような展開の物語を描くのか指針が決まります。例えばファンタジー物でも、ハーレム系なのかシリアス系なのか現実的なストーリーなのか詳細に分かれますが、自分のファンはあなたにどんな作品を期待しているのかがターゲットの読者像を具体的にしておくことで明確化します。
「誰に小説を届けるのか?」を明確化することであなたの作家の色が定まり、自分の書いた小説を好き好んでくれた読者を離してしまうことなくファンを蓄積していくことができるのです。
ターゲットを詳細にすることで読者のパイ(総数)が減ることに懸念を示す人がいますが、心配はありません。
例えば、ターゲットを絞って世の中に1%くらいしかいない人を読者として設定したとしても、日本には1億人以上人口がいるのでミリオンセラーを狙えます(1億人×1%=100万人)。
1万人に読まれる本を作るのが目標であれば、世の中の千人に一人の0.001%の人をターゲットに選定すればよいのです。その代わり、そのターゲットにした0.001%の人たちが「絶対読みたい!」と思えるテーマや内容で執筆しましょう。
恐れることなく明確にターゲット読者を構想して、「少なくともその人たちだけには気に入ってもらえる!」そんな小説を書いていくことが、ファンを増やしていく第一歩なようです。
長くなってしまいましたが、つまり、
作家にとってのマーケティングとは、まず 『どんな人が読んでくれるのか』そして、 『その読者層がどれくらいいるのか』をしっかり把握することです。
これらを把握しておくことで、読者があなたの色を理解して、ファンの獲得につながります。もしファンがなかなか着かなかったとしても、『ターゲットに選んだ読者にとどけられてるかな?』や『そもそもターゲット読者の規模が少ないから、もっとたくさん読者がいるファンタジー学園もの書いてターゲット読者を換えようかな?』など改善策も検討しやすくなります。
どんなジャンルに読者層が多いかを調査するのはとても大変です。
なので、本屋に並ぶ書籍のジャンルをよく観察したり、電子書籍サイトのランキングやAmazonのランキングなどをチェックすると良いそうです。
読者規模を●●人という風には把握できませんが、Amazonの書籍ランキングで上位20位のうち60%がファンタジーで◯◯な小説だなぁと把握することができます。 また、学生の場合は、身の回りの人やクラスメイトがどんな人が多いかも観察すると良いそうです。
どんな人がいてどんな趣味を持っているか人間観察をして、「◯◯な本を書いたら△△さんみたいな人たちに喜ばれるのかなあ?」と考えておくと作家としてのマーケティング力が身についてきます。
日頃から、『世の中の人たちがどんな小説を楽しんでるのか?』『身近な人が読んでくれそうな小説はどんなものか?』を考えておくことを習慣化しましょう。
今回は、作家とマーケティングというと、全く別の世界の言葉のように考えがちですが、ファンを抱えるプロの作家さんたちが重要視する項目の一つです。
もちろん、マーケティングに関しては出版社の方が行ってくれる場合もありますが、デビュー前の作家の卵の方々は自分でしていくしかありません。
自分の小説をどんな人に届けて、その人の心にどんな世界を作るのかを日々考えて、小説を書いてみるようにしたいと私も肝に銘じました。
この記事が、あなたの作品にファンがついて、プロ作家への道が開く一助になれたら嬉しいです。
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